更新日:2026年5月10日 | 情報元:こども家庭庁・厚生労働省
2026年4月分の社会保険料から、子ども・子育て支援金の徴収が始まりました。多くの会社員はこの5月支給の給与明細で、健康保険料とは別項目で初めてその金額を目にすることになります。
この支援金は何のために、いくら払うのか。そして共働き家庭にとって、児童手当の拡充とあわせて見たときに損なのか得なのか。こども家庭庁と厚生労働省の一次資料をもとに、年収帯別に整理しました。
💡 結論
- こどもがいる共働き家庭は、トータルで受益が負担を上回る(試算上)
- 世帯年収800〜2,000万のいずれの帯でも、こどもが1人いれば受益が負担を上回る(2028年度水準でも世帯年収1,200万までは+100万円超、1,600〜2,000万でも+71〜84万)
- 独身・非子育て世帯にとっては純粋な負担増となる
- ワーママには時短勤務中の賃金10%給付・育休中の支援金免除という直接的な配慮あり
まず数字で押さえる:いつから・いくら・どう天引きされるか
2026年度(令和8年度)の支援金率
被用者保険の労使合計は0.23%、本人負担分は労使折半後の0.115%です。計算式は「標準報酬月額×0.115%」で、4月分保険料を5月支給給与で天引き反映します(多数派)。
段階的に引き上げられるスケジュール
公式試算では、加入者一人当たりの月平均負担額は2026年度約250円、2027年度約350円、2028年度約450円。労使合計率は2028年度に約0.4%、本人負担0.2%まで段階的に引き上げられます。
📌 給与明細でのチェック項目
- 健康保険料とは独立した「子ども・子育て支援金」の項目があるか
- 金額が標準報酬月額×0.115%にほぼ一致するか
- 4月分から開始されているか(5月に2か月分まとまっていないか)
※健保組合によっては明細上の表記が「健康保険料」に合算されている場合があります。その場合は健保組合からの保険料率通知書で内訳を確認できます。
年収別の月額負担(2026年度ベース)
月192円
月384円
月575円
月767円
月959円
参考までに2028年度(段階引き上げ完了時)の公式試算では、年収200万350円〜1,000万1,650円。およそ1.7倍の水準まで上がります。
JTC共働き家庭のシミュレーション:負担と受益のトータル評価
ここが本記事の核です。世帯年収帯別に、夫婦合算の支援金負担と子育て支援事業(児童手当拡充ほか)の累計給付改善額を並べて、子供の人数別にトータルで損か得かを見ていきます。
📌 試算の前提
夫婦ともに被用者保険加入・正社員。負担額は2026年度水準で固定(実際は2028年度に向けて1.7倍に増加)。受益額は公式試算「こども一人当たり累計給付改善額 約146万円」を使用。
世帯年収800万円(夫婦400万+400万)
19年累計 約17万円
世帯年収1,200万円(夫婦600万+600万)
19年累計 約26万円
世帯年収1,600万円(夫婦800万+800万)
19年累計 約35万円
世帯年収2,000万円(夫婦1,000万+1,000万)
19年累計 約44万円
📌 ポイント
所得制限が撤廃されたため、児童手当の拡充分は世帯年収によらず受給できます。一方で支援金の負担は年収比例で増えるため、高所得世帯ほどネット受益額は小さくなりますが、こどもが1人いれば全年収帯でプラスを確保できる設計です。
⚠️ 注意:上の累計は2026年度水準で固定計算した保守値です。2028年度水準(本人0.2%)で19年継続した場合は、負担額が約1.7倍に増え、子1人ネットは世帯年収800万で+116万・1,200万で+100万・1,600万で+84万・2,000万で+71万に縮小します。それでも全年収帯で受益が負担を上回る構造は維持されます(試算上)。
※146万円は児童手当拡充だけでなく、妊婦支援給付(10万円相当)・こども誰でも通園制度・育児時短給付などの支援金充当事業の合計(公式試算)。実際は世帯所得・第何子か・現行受給状況によって変動します。
ワーママに直撃する特典:育児時短就業給付(賃金の10%支給)
支援金で運営される事業のうち、JTCワーママ層に直接効くのが育児時短就業給付です。2025年4月にすでに開始されています。
対象は2歳未満の子を養育するため時短勤務中の被保険者で、時短中に支払われた賃金額の10%相当が支給されます。たとえば時短前の月給40万円が30万円に下がった場合、月3万円が給付され、2年間で最大72万円のインパクトになります。
時短勤務に切り替える判断を「年収減」だけで考えていた人にとっては、この10%補填の有無で実質的な手取りが変わります。育休復帰前の選択肢として頭に入れておきたい制度です。
📝 時短勤務の選択や復職前後の準備については 「復職準備チェックリスト|全体像と時期別のやること」 で詳しく扱っています。
隠れた配慮:育休中は免除、こどもの拠出はゼロ
公式FAQで明記されていますが見落とされがちな配慮が2点あります。育児休業中は支援金の本人負担も免除されます(他の社会保険料と同様)。また国民健康保険では18歳以下のこどもにかかる支援金の均等割額は10割軽減(公費負担)で、こども本人が支援金を払う構造にはなっていません。
📝 助成金の受益側の全体像は 「2026年最新・東京都 妊娠・出産の手続きと助成金まとめ」 で詳しく扱っています。
「独身税」論争についてどう整理するか
支援金は医療保険料に上乗せして徴収するため、子供がいない人や独身の人も拠出することになり、これを「独身税」と呼ぶ批判が制度発表当初から続いています。
ファクトとしては、支援金は税ではなく社会保険料の枠組み(こども家庭庁の整理)で、拠出する人と直接受益する人がずれる構造は医療保険・介護保険と同じです。政府は「歳出改革と賃上げによって社会保険負担率を上昇させない」と説明していますが、医療費の歳出改革が想定通り進むかは不確実だという指摘もあります。本記事の目的は損得を試算することなので、この論争にはここで触れるに留めます。
児童手当の使い道:我が家は全額つみたてNISA運用
我が家は児童手当の全額をつみたてNISAに振っています。2026年中に「こどもNISA」(仮称)の制度設計が進む見込みで、開始されたら順次そちらに切り替えていく予定です。受益額が大きい制度なので、運用の効率を最大化したいところです。
※児童手当の運用方針については別記事で詳細を書く予定です。
まとめ
💡 まとめ
- 2026年5月給与から、本人負担は月100〜1,000円程度(年収200〜1,000万)でスタート
- 19年累計の負担は世帯年収800万で約17万、2,000万でも約44万(2026年度水準)
- 子育て支援事業の累計給付改善額はこども1人約146万円・全年収帯でプラス
- 時短勤務中なら賃金10%給付・育休中は免除という配慮あり
- 児童手当の使い道(つみたてNISA等)の選択が、最終受益額を左右する
支援金単体で見れば負担増ですが、児童手当拡充とセットで設計された「分かち合い」の制度として捉えると、こどもがいる共働き家庭にとってはトータルでプラスになる、というのが一次資料を読み込んだ結論です。なお、独身世帯や非子育て世帯にとっては純粋な負担増になります。この点については「制度設計の論点」として別の議論が必要ですが、本記事の範囲を超えるため、別の機会に整理します。
参考ソース
※本記事は2026年5月10日時点の公開情報に基づきます。料率の段階引き上げや健保組合ごとの差異については、加入する健保組合・市区町村の最新案内を必ずご確認ください。

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